昔話 – ニコニコ動画の誕生、沸き上がる自己顕示欲

2006年、私はニコニコ動画と出会った。

当時学生だった私は、ろくでもない先輩からニコニコ動画の存在を知らされた。まだ正式サービスではない(仮)の時代で、「粉雪」や「レッツゴー!陰陽師」の動画に皆が弾幕を打って楽しんでいたのをインターネット越しに見ていた。

その後しばらく存在を忘れていたが、久々にサイトを訪れるといつの間にか会員登録制になっていた。私は完全に出遅れてしまい、登録したもののIDが新しかったたため閲覧することができなかった。なのでしばらくは友人のアカウントを勝手に使って楽しんでいた。すまんな友人。

ニコニコ動画のネタは所属していた部内でもまたたく間に広がり、ハルヒ、らき☆すた、ひぐらし、東方、アイドルマスターは通過儀礼のように頭に叩き込まれることとなる。田舎の片隅に住んでいた無垢な若者にとっては、深夜アニメも美少女ゲームも同人創作物も何もかもが新鮮だった。気がつけば私も同級生もろくでもない学生になってしまった。

どのくらいろくでもなかったかを以下に記す。

  • 夜な夜な友人の家に集合して深夜アニメ上映会が開催される
  • 夜な夜な麻雀をやりながら「Aitsu koso ga Tennis no Oujisama」をバックで流す
  • そして「全部無理やり空耳にしようとしてつまんねーよな」「昔のコメントのほうが良かった」と古参ニコ厨アピールをする
  • そして\ア○ル零式/弾幕を黙々と投じ続ける
  • カラオケに行くと「隔離部屋」と称された永遠にアニソン・電波ソング・東方ボーカル曲を歌うだけの部屋が出来上がる
  • 「フタエノキワミ、アーーーーー」と叫びながら殴りかかる
  • 創聖のアクエリオンを合唱する
  • フリーのカメラマンを自称する
  • 同級生を送り出す際に「新世紀エヴァンゲリオン」のワンシーンをアフレコした動画を餞別に渡す

……まあ私の周りに限らず、あの当時の学生たちは多かれ少なかれそういうところがあったんだろうけど。イタい思い出かもしれないけど、楽しかったっすよ。


そして2007年秋ごろ、初音ミクがニコニコ動画でブームとなった。

毎日のようにニコニコ動画を見ていた私は、ミクさんがニコニコで受け入れられ広まっていく様をリアルタイムで楽しんだ。Amazonがkonozamaして初音ミクが来なかったり、ネギ踊りさせられたり、アレな歌を歌わされたりそれはそれは大変なことになりましたね……

一方でメルトショック以降ボカロ曲の歌ってみたが浸透し始めていて、そういうのも楽しそうやなあとは思いつつ、自分がやるだけの意欲は見いだせずにいた。

しかし年の暮れ、かの「ミラクル28歳♂」ことりゃく氏の動画を見つけてしまったことが転機となる。こういう二つ名がつく辺りが2000年代っぽい

これは自己顕示欲をムクムクと掻き立てられた。動画の向こうの歌声は確かに上手かったが、そこまで驚愕と称賛を浴びるほどだとは思わなかった。あ??ワイもそんくらいできっぞ????幼少から鍛えた女性顔負けの高音ボーカル見せたろか??????????

こうして私はベスト電器へマイクを買いに走った。