そんなに人を憎めないし、そんなに人に興味がないらしい

Web小説や漫画、それに付随するコンテンツ群には「ざまぁ系」と呼ばれるジャンルがある。自己中心的な振る舞いをするキャラクターが不幸な目に遭ったりだとか、王子とか貴族みたいな位の高いキャラクターが失脚したりだとか、だいたいそういう物語が当てはまるらしい。人の不幸をテーマにしたコンテンツが流行ることに否定的な意見はあるし、私も好んで読んだりはしないが、創作の中でやるのであれば好きにすれば良いと思う。そういう負の感情を昇華する手段として創作活動をするのは、すごく健全だと思うので。

ところが、そういった「ざまぁ」という態度を現実に存在する人間に向けて放つ人もいる。例えば芸能人にスキャンダルが発覚したりだとか、政治家が選挙で落選したりだとか、スポーツ選手が見るも無惨な成績を残したりした時に起こりやすい。まあ私自身もそんなに出来た人間ではないので、そういった出来事が起きた時の狂騒をお祭り的に楽しんだりしないわけでもないが、じゃあそのお祭りに乗じて、知り合いも見ているであろうSNSに「あいつが負けて嬉しい!」みたいなことを書き込むかというと、別にそこまで入れ込んではいない。

人は誰しも、反りの合わない人や組織に対して嫌悪する感情を抱えているものだろうと思っている。しかし、それを公開アカウントでストレートに発露してしまうというのは、何か相当な憎しみを持っていないとやらないような気がするのだが、そんな知り合いでもなんでもない他人をどうしてそこまで憎んでしまうんだろう。それは憎しみが憎しみを増幅させているフェーズにないか?と思ってしまう。

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『砂の惑星』からハチ年

この曲を振り返るきっかけになったのは、劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の公開記念として投稿された藤本タツキと米津玄師の対談動画だった。両者ともインターネットの恩恵を多分に受けてきた世代であり、自然とニコニコ動画の話になった。そこで米津玄師があの頃の体験を「みんなで公園の砂場で遊んでるみたいな」と例えていたのを聞いて、そういえば『砂の惑星』をリリースしたときも似たようなことをコメントしていたな、と思ったのだった。

『砂の惑星』は2017年リリースで、今は8年後に当たる。『ハチ』としての最後のボカロ曲から、8年。なんだか、当時を振り返るにもちょうど良いタイミングだと思ったので、今更ながらこの作品について所感を書いてみることにする。

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「推し」に夢見を託す現代社会

あまりここで政治の話はしていないのですが、先日自民党の総裁選がテレビで中継されていたのでお祭りでも見るくらいの気持ちでなんとなく見ていました。

そこで候補の一人であった高市さん(後に新総裁に決まりましたが)が「今の自民党には夢がない、と支持者の方から言われた」というような話をされていて、ああ、政治家って夢を見せないといけない職業なんだなあ、大変だなあと気付かされたりしたのです。

私の感覚では、夢って人に見せてもらうものじゃなくて自分で勝手に見るものだと思うんですけど、たぶんそういうことを言うと好かれないんでしょうね。「あなたに良い夢、見せてあ・げ・る♥」ってリップサービスができるくらいの気概がないと支持してもらえないんでしょうね。夢を見せるために努力を重ねるという点では政治家ってやってることアイドルと大差ないのかもしれないなあ、と思いました。いや一緒にすんなとか言われそうですけど⋯⋯

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『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』所感

おもしろかったです!!!!!!

普段ゲームの情報を能動的に収集していないので、このゲームの発売も評判が良かったことも一切知らなかったんです。ただ今年のGWにクリアした都市伝説解体センターの感想を読み漁っていると結構な人が比較対象としてこのゲームを挙げていたので、じゃあプレイしてみようじゃないかということで買ってみました。ちょうどセールをやっていて、定価2000円弱のところを1200円くらいで買えました。クリアした今となっては「こんな安くで買えちゃって良かったんですか?????」と思っちゃうのですが……

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インターネットが打ち砕いた、ささやかな「夢」

ゴールデンウィーク中の余暇を使って、最近話題のゲーム『都市伝説解体センター』をクリアした。

※本記事はゲーム内ネタバレを含みます

ゲーム自体への評価は今回書きたいメインの話ではないので簡単に記載するまでとする。クリア直後はそのインパクトの強さに大いに興奮したが、落ち着いて振り返るにつれて設定や展開の粗の多さが気になった。しかしなんだかんだ楽しめたほうだと思う。

ネット上の評判は概ね「ゲームをあまりやらない人ほど好評で、ゲームをよくやる人にとっては過大評価のように感じる」であり、SNSで絶賛されているよりは人を選ぶゲームだと思う。個人的には都市伝説やミステリーが好きな人向けというよりは、X(Twitter)や匿名掲示板のドブ川インターネットに慣れ親しんだ人向けのように思う。そのぐらい都市伝説は付随的要素であり、本質は現代社会への風刺にある。タイトル通りのものを期待するとトンカツが食べたかったのにカツカレーが出てきたような気分になるかもしれない。

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