ネット活動者、小中学生女子の憧れの存在となる

ニフティキッズが毎年Web上でアンケートをとっている「小中学生のなりたい職業」の今年のランキングが発表され、VTuber(4位)がYouTuber(6位)の順位を上回ったことでネット上で話題になった。

また2位に「イラストレーター」、3位に「歌い手」とネット活動者が上位を占めていることがわかる。(ちなみに1位は「学校の先生」である)

個人的に「歌い手」というのはもう時代遅れの活動形態なんじゃないかと思っていたのだが、小中学生的には全然身近な存在だったことが意外だった。まあ、すとぷりとか10代人気すごいらしいもんね。

このアンケートは毎年女性の回答比率が高く(今回だと81%)、実質「小中学生女子がなりたい職業」である。つまり今どきの小中学生女子、めっちゃインターネット見てる。

これが男子だと全然変わってくるんだろうか?と思って別のアンケートを調べてみたらスポーツ選手やITエンジニア、ゲームクリエイターが上位を占めていた。やっぱそうなるんだね。男性イラストレーターや歌い手で有名な人もいるけど、男子が憧れる典型的なカッコよさとはちょっと違うし、あんまり小中学生のうちから目指す対象にはならないのかもしれない。


ネット上の反応を見ていると「しぐれういじゃん」という声が挙がっていた。しぐれういはイラストレーターだし、VTuberだし、歌の活動もしている現代ネット活動者の象徴的存在と言っても過言ではない。チャンネル登録者数200万人超え、1億再生オリジナル曲持ち、Xにイラストを投稿すれば数万いいねをコンスタントに貰える個人勢など唯一無二、ONE OF A KINDだ。

この記事を書くために先日初めて配信アーカイブを拝聴させてもらったのだが、ただビジュアルが可愛いだけでなくコメント返しがテンポよく軽快で癖になる感じがあり、これは人気出ますわ……と感服してしまった。なんというか、好き勝手に騒ぐオタクたちのコメントを上手く乗りこなしている。

「皆さん今年も失礼ですねえ」と言いつつけらけら笑っている

電撃オンラインの記事ではこの話題を取り上げて、子どもたちの目指す将来がマルチロール化しているではないか、と指摘している。確かにスポーツの世界でも大谷翔平がピッチャーとバッターの二刀流だの「50-50」だの前人未到の離れ業をやってのけているし、現代の子どもたちは別ベクトルのことを並行してこなせるが当然、とまではいかなくてもそれを目指したくなる時代なのかもしれない。


とはいえネット活動者、言うまでもなく茨の道である。

イラスト・ゲーム・歌、何を主軸に据えるにしても、この濁流のように流れる情報の川に飛び込んで自らをアピールしていかなければならない。その中で人気を獲得していくためにはただ自分の好きなことをやるだけではなく、誰かの目に留まるための、流れる川の凸凹に引っかかるような戦略を練る必要がある。ときには流行りのジャンルに乗っかったり、人気コンテンツの二次創作をするなどのクレバーさも必要になってくるだろう。もっとも、ただ流行りに乗っかるだけではあまりコアなファンは付かないので、応援したいと思われるような人間性であったり、独自のキャラクター性を形成していくことも大事である。このようなセルフプロデュース能力は、どんなネット活動者にも必須スキルと言えるだろう。

しかしそれよりも重要になってくるのがメンタルの強さだ。何もかもの人気度合いが数値化されて衆目のもとに晒されてしまうこの界隈においては、「もっと頑張らなければ」と自分にプレッシャーをかけ続けてメンタルを崩してしまう活動者は後を絶たない。

最近ではホロライブ所属のVTuber、風間いろはが「心因性失声症」を発症し、それでも自らの活動3周年をファンと祝うために筆談で配信を行ったと知り、大変痛ましい気持ちになった。その後回復し、声を出しての配信ができるようにはなったものの、まだ流暢に喋るには至っていない。(2025年2月時点)
端から見ていると「何もそんなに頑張らなくても…」と思ってしまうのだが、できる限りのやり方で配信しようと奮闘する姿は、芯の強さあってのものではないだろうか。

このインターネット、年齢による明確なデッドラインがないので、才能やスキルのあるなしよりも「諦めの悪さ」が生き残っていく秘訣であるとも言われている。自らの至らなさや物足りなさを受容し、それでも活動を継続していくだけの推進力があるのか。川の流れに身を任せる順応性がありながら、ときには逆らう強さを持てるのか。在りたい姿に向かって突き進みながらも、心身ともに鍛えあげなければ職業としてネット活動者を究めることはできないだろう。


最後は釘を刺すようなことを書いてしまったが、小中学生においては「将来なりたい職業がある」というだけで素晴らしいことだと思う。私は目指したいものがよく分からないままだらだらと成人してしまったので。

先のことが誰にも見通せなくなった現代社会においては、身の回りの大人が将来を導くことができなくなり、子どもたち自身が自発的に将来を切り開いていかなければならなくなった。これからの小中学生は大人になるための一歩として、まずは口に出して言える「将来の夢」を探してみてはどうだろうか。