初音ミクと救済

初音ミク、今もつなぎ続ける「一人と一人」 失っていない「原点」
https://withnews.jp/article/f0200509000qq000000000000000W00g10201qq000021013A

心にじんわりとくる記事だった。こういったほんの一部の人に深く突き刺さる創作物というのが、初音ミクを通じたサブカルチャーの大きな魅力だ。


本記事ではちょくちょく交流のあるforuteさんが取り上げられている。foruteさんの生い立ちについては多少知ってはいたが、ここまで記事に公開したことには驚いた。
そして月兎杏奈さんも私の歌を長年聴いてくださっており、お名前は認知していた。ただもちろん障害のことなど知らなかったのでこちらも驚いた。障害やLGBTを公表するのは一部の目立つ人だけで、多くの人はわざわざそんなことをネット上で語ったりしないのだなあと思った。


何事もそうだが、「知らない」と「知った」には大きな隔たりがある。いくら多様性を認める世の中に進もうが、何年にも渡って植え付けられた価値観が急に変わることなどない。障害者であること、性的少数者であることを知らせることは、それまで「知らなかった人たち」をリトマス試験紙にかけるようなことになるだろう。それはきっと苦しい行為だ。

お二方のとったリスクが、誰かの糧になることを願いたい。



個人的には、記事で語られている「孤独感」に打ち勝つ特効薬はない、と考える。初音ミクがインターネットを通じて人と人とが深く共感し合える環境を形成してくれたのは確かだ。しかし揺りかごから墓場まで自分に寄り添ってくれるものなどこの世にはない。人、物、作り話、その他様々なものに支えてもらいながら、最後には自分の足で立って歩く強さを身に付けて、初めて「孤独感」から抜け出せるのだと思う。

……まあそうは言っても今苦しいものをどうにかすべき時期だってある。絶望に打ちひしがれて死にたくなるくらいなら「作り話でなんとか生きていける」ほうがよっぽどマシなのだから。