11. シリウス

本アルバムの締めを担当してもらった書き下ろし曲です。

aonさんのことは『fernweh』というユニットでM3に出展されていた際に知りました。もう作風がド好みでですね……。楽曲の暖かくときに儚い感じといい、装丁の凝り具合といい「古き良き同人音楽」を思い起こすものがありまして、私はそういうのに弱いので、以来個人的にご活動を追っていました。実際aonさんはそういった懐かしみのある音楽に影響を受けて育ってきたそうです。

既に様々なボーカルさんに楽曲提供を経験されていて、これまでどちらかというと明るめの楽曲を制作されることが多かったようですが、今回「陰り」という思いっきり暗いテーマを提示させていただきまして、どういった感じの曲が出来上がってくるのかは楽しみでありドキドキでもありました。それであんな素晴らしい楽曲が書き下ろされてくるんですからね……もうね……。

あまりあれこれリクエストして創作の幅を狭めたくないなと思って、ざっくりとしたコンセプト以外は訊かれたら答えるくらいのスタンスでいたのですが、音源も歌詞もあまりに”理解”っているものをいただきまして、全然言語化しなかったのにここまで汲み取っていただけるものなのかと感激しました。
「良い曲はイントロからもう良い」という持論があるのですが、初めてデモ音源を拝聴させていただいた際の膝から崩れ落ちるような感慨に陥ったあの瞬間は、忘れることができないです。


タイトルの『シリウス』は理科で習う「冬の大三角」を構成する一等星の名称で知ってる方も多いと思いますが、実はシリウスは2つの星が連なっています。目に見えて光り輝く「シリウスA」と、その傍らでひっそりと佇む「シリウスB」が存在するのです。シリウスBは「白色矮星」と呼ばれる、明るく光るためのエネルギーを失った状態の星で、望遠鏡を使ってやっと観測できるそうです。

……勘の良い方はもう分かっていただけたと思うんですが、私の「陰り」に込めたコンセプトを、aonさんがシリウスBの置かれた立場になぞらえてタイトルにしてくださってるんですね。なんかもう、すごくないですか?すごくないですか????(2回目)


普段はコーラスを人に頼むことなんてしないのですが、今回は一部aonさんにお願いさせていただきました。というのも、仮歌をaonさん自身で歌われていたのですが、もうこれを世に出したほうが良いんじゃないかと思うくらいに良くて、全部自分のボーカルに変えてしまうのはもったいないと思ってしまいまして……。aonさんのボーカルは透明感が私より優れてると感じたので、高めの音域を担当いただいています。あと単純にあんまり低いとaonさんには出せないそうだったので。

aonさんは自身の曲のコーラスを担当することに「すごく憧れがあった」と仰っておりまして、結果的に良いことをしたようです。確かにボーカルさんに楽曲制作依頼されて「コーラスは自分でやりたいです」とは、まあちょっと言いづらいですよね。


『褪めゆく』のほうでも書いたのですが、ジャケットイラストはchyomaさんが書き下ろし2曲をイメージして描いておりまして、裏側が本作のイメージになっています。湖のほとりでヤギさんと桧木さん(少女のすがた)が互いを慈しむかのように触れ合う姿がただただ美しく、尊いです。裏側にするのがもったいないくらいです。いつも素敵なイラストをありがとうございます。

背景はたぶん私がXのヘッダーにしている湖の写真がベースになっているんじゃないかと思うんですけど、どうなんでしょうね。直接本人に訊くのは野暮かなと思って訊けてないんですけど(笑)
ちなみにここは河口湖です。夕焼けが湖に反射しているのがキレイだな~と思って撮ったような記憶があります。