01. 褪めゆく

5年ぶりにETIA.さんの楽曲を歌わせていただきました。

2011年に『Love Blood』のボーカルのご依頼を受けて以降、ETIA.さんのボーカル曲を沢山歌わせていただきました。『Say A Vengeance』でETIA.さんの名が知られるようになってからは、ゲーセンやスマホアプリの音楽ゲームで私の歌った曲が遊べるようになったり、クラブイベントで流してもらったり等、貴重な体験をさせていただきました。

決して有名歌い手とは言えない私がオリジナル曲のボーカルを依頼されるというのは、今思えば大変貴重なことで、私の活動に彩りを与えていただいたことに大変感謝しています。いつか「ひのきのとう」サイドで書き下ろしていただきたい……という気持ちは前々からありまして、今回やっとそれを果たすことができました。


人生で初めて作詞というものをやらせていただきました。

当初はやるつもりなかったんです。ただETIA.さんにご依頼させていただいた時に「作詞までやるのは負荷的にちょっと厳しいので、別の方にお願いするかもしれない」という返答を受けまして、それだったら自分で作詞すべきなのでは?と思ってしまい……。
まあ、文章を考えるのは好きなほうだしなんとかなるやろ!と楽観していたのは事実です。おかげさまでまる一ヶ月くらいは作詞のこと以外何も考えられなくなる時期がありました。あれはしんどかった。

詞のテーマは「夢の終わり」です。
私は若い頃からあまり「現実」というものに向き合ってきませんでした。自分が将来社会の中でどういう存在になっていきたいのかを考えることが全くなく、ただただ頭の中の空想に浸り続けていました。そのような人間にとってインターネットはまさに楽園でした。身の回りの人たちには決して発露できない歪な部分さえも受け入れてくれる「夢」の空間に、私は深く深く沈み込んでいきました。

しかしその「夢」に浸れなくなってきている。それは歳を重ねてきたせいもあるだろうし、自分にとってインターネットがだんだん「夢」を見せてくれる場ではなくなってきているのもあるだろうし、他にも様々な要因が重なってそうなっているのだと思います。そしてそれを、受け入れなければならない時期が迫っている。「現実」ってやつをやっていかなければならない気になっている。……そんな感じの詞になっています。

今振り返ると、曲の盛り上がりに対するフレーズの組み方が噛み合ってないかもな……と思う箇所もあり、詞を眺めるとちょっと恥ずかしいです。初めてにしては悪くない、と思いたいのですが。


今回はリズムとメロだけの仮音源をもとに私が作詞をして、出来上がったらETIA.さんに提出してアレンジを詰め、ある程度のところでボーカル録音→さらにアレンジを詰めてミックス→マスタリングという流れでした。

なので直前までどういう感じの曲になるのかは私にも分からなかったのですが、ETIA.さんらしい芯の強い感じを残しつつ、ピアノから始まるイントロや雨音で締めるアウトロなど要所要所で寂寥感も表現していただきました。私としても本当に素晴らしい曲になってくれたと思います。

タイトルは当初「何もかもが色褪せていく感覚」と「夢から覚める」ことを掛け合わせて『目褪め』という仮題をつけていたのですが、さらっとした語感とラスサビでタイトル回収するカタルシスを求めて『褪めゆく』に変更した、という経緯もあったりします。
ETIA.さんとの楽曲では初めての日本語タイトルです。正直これは狙ってました。


ジャケットイラストはchyomaさんが書き下ろし2曲をイメージして描いておりまして、表側が本作のイメージになっています。「陰り」というテーマと歌詞、音源だけをお送りして、あとは自由に描いていただきました。

真っ先に「都会の路地裏」が浮かんだそうで、それをベースに描き進めてもらってます。路地裏でありながら光に照らされていて落ち着ける場所がない感じが「陰り」に込めたものと凄くマッチしてまして、もうほんと素晴らしいイラストを描いていただきました。ありがとうございました。