活動10周年記念?とか銘打ちつつ10周年らしい「ファンのみんな!!!今まで応援してくれてありがトゥ~~~!!!」的なキラキラ感もへったくれもない感じになってしまいました。そんな薄っぺらいアルバムなんか出せません。歌ってみたの時点で薄っぺらいのに。
私は古い価値観の人間だったので、歌い手ごときがCDを出すという行為に長らく意味を見いだせませんでした。歌い手の活動なんてどんなに粋がっても所詮よくできた着せ替え人形の首だけ挿げ替えたようなもんなのにそれに金を払わせるなんてとても……。ボカロの人に選ばれないとCD出しちゃダメ、みたいなことを考えてました。昔のニコニコは嫌儲思考が強かったので、それに少なからず影響されていたのだと思います。
そんなやつがCDを制作したということはつまり、意味を見出すことができたというわけです。これこそが『実り』です。
私にとってのボカロ界隈というのはたどり着けなかった場所でもあり、選ばれなかった場所でもあります。
作曲に手をつけなかったのは私の人生における大きな過ちだったと思います。なまじ歌のほうでウケてしまい、その承認欲求の手軽さを捨てきれず、そのまま社畜の沼に飲み込まれてずるずるここまで来てしまいました。モラトリアムの有限さを呪うばかりです。
それでもボカロの人は数多の歌い手をその輪の中へ引き込んでいったので、私もその一人になれれば良かったのですが、残念ながらそれは叶いませんでした。知名度が足りてなかったとか、歌唱力が足りてなかったとか、イベントに通えなかったとか、そもそも活動の方向性がイロモノだったとかまあ色々考えつくのですが、井の中の蛙にわざわざ手を差し伸べる奇異な人なんてそうそう現れないものなのだとずっと気づけませんでした。(後々そんな奇異な人がBMS畑からやってきたんですけれども)
だから、しょうがないから、自分で選びました。意外とすんなり選ばせてもらえました。先人の歌い手さん達には感謝しないといけませんね。
選曲についてはこれまでの動画同様、こだわりを持っています。他の歌い手じゃ絶対に引っ張ってこ(れ)ない曲を選んだつもりです。
通ぶってると思われるかもしれないけど、ほっといても広まっていくような曲を趣味レベルの歌い手が収録する必要なんてないんです。
ご協力いただいたオリジナルの皆さんには本当に感謝です……初めてだったので色々と不勉強なことがあり申し訳ないです……
全曲カバーで構わないつもりでいたのですが、贅沢なことに2曲書き下ろしをいただいてしまいました。数少ない10周年お祝い要素かもしれない。
ありがたいことに名盤だというご感想をちらほらいただけてるんですけど、名盤にならないわけないじゃないですか。私の推しが詰まってるんですよ?(自画自賛)